ツーリングライダーとしてバイクを楽しみ、バイク屋として蓄積した独自のノウハウを活かして、工業製品もしくは物流商品として扱われているバイクを、価値ある「趣味の道具」として楽しむために、ノースウイングJCというバイク屋の拘りと独りのツーリングライダーの目線から感じたことや思うことを綴ります。

カブ110Expressで日本列島縦断 中日本編

3日目 岡山蒜山から新潟上越

列島縦断ツーリング3日目の朝、テントをたたく雨の音で目が覚めた。暖かいお茶を飲みながら、今日のルートを再チェックして撤収に取り掛かる事にした。

タープを張っていたから雨でも撤収は苦に為らない。タープの撥水が悪くなっている、帰ったら防水液を塗ろう、と思いながら撤収を終えた。倉吉を目指して走り始めて暫くすると雨が本降りになってきた。

道の駅

雨天走行ではレッグシールドが効果を発揮して足元に掛かる水しぶきを防いでいる、スクリーンもツーリングでは必須だと実感する。雨天走行でも頼もしい小さなツアラー カブ110Expressである。

今日は新潟の上越まで走る予定である。フル積載状態で1日600Km近い距離を走り続けている、カブ110Expressはタフである。また、移動中の平均速度もガーミン60CSXによると、48Km/h前後だから大型ツアラーと比べても遜色ないペースで走り続けている。

大型ツアラーと同等に長距離を走り続けて、エンジンを始め各部にどんな症状や変化が顕れるのか、バイク屋のバイク乗りとして、実体験による新たな何かを得ることが楽しみである。

山陰道 進入禁止

倉吉から走り始めた従来のR9号線は、自動車専用道の山陰道で無料区間となるR9号線とは別だから、大型トラックや車が少なく前方が見渡せて走りやすい。

R9

左に海を見ながら見慣れた景色の中をカブ110Expressは軽快に走り続けた。鳥取を過ぎて兵庫県に入り休憩ポイントの村岡ファームを過ぎた和田山あたりが次の給油ポイントになるだろう、と走り慣れた道と乗り慣れたカブ110であれば容易に見当がつく。

R9魚見台

長閑な田園風景が続くR9号線沿いの村岡ファームに到着。Nakaさんへ連絡を入れて、今日の予定としている上越までの中間辺りと思われる、敦賀のいつもの店で一緒にパスタを食べることにした。

Nakaさんは、村田さんと一緒に『迎えに行く』と云っていた。いつものメンバーを交えて冗談まじりに列島縦断の走行距離などについて話したことがあるが、短期間でカブ110を駆って列島縦断をやっているとは思わず、九州から帰って来ていると思っている様である。

再び走り始めていくつか峠を越えながら走り続ける。登坂車線のあるところでは3速全開で車速を載せて駆け上がり、長い登り坂に差し掛かる前に大型トラックに近づくと、吸い寄せられるように軽々と登って行く。

レースで云うところのスリップストリームをカブ110など非力な小排気量のバイクだからこそ判りやすく体感できるところが面白い。

田植機

R9号線を飽きることなく楽しんで、福知山からR175号へ入り由良川を渡り、綾部JCの近くを抜けて府道1号へ向けて長閑な水田風景を眺めながら走っていると、トラクターが何台も並んでいるのを横目で見ながら通過しかけたその瞬間、旧いトラクターがあった事に気づく。

旧いトラクター

即座にUターンをして旧いトラクターを眺めて、再び走り始める。小さなカブだからこそ気侭にUターンや停車を繰り返して楽しむ事が出来るのであるが、大型バイクでは次の機会でも、と思い通り過ぎて行くのが常であると改めて思う。

スクランブラーと合流

交通量も少なく、長閑な田園風景が続く京都府の府道1号線は福井県に入ると県道1号線となり、大飯からR27号へ出て敦賀へ向かう。見晴らしの良い合流ポイントの三叉路へ西から向かうと、それを見計らったように南からスクランブラーが2台走って来るのが見えた。

合流

パスタを食べながら佐多岬から走り続けてきたカブ110Expressのコンディションや道路情報など、雑談を交えてのんびりとした時間が流れた。食事も終わり再び走り出す準備をしていると、Nakaさんから「刃根、木之本まわりで帰りましょうか」と問われる。やはり、宗谷岬を目指しているとは思っていない様子。

宗谷を目指している事は告げず、先に行く、と一声かけて再び走り始めた。2台のスクランブラーも後ろに続いて走り始めた。R8号を北へ向かって走り、高岡か富山あたりの交差点で停まった時、Nakaさんからどこまで走るんですか、と聞かれる。今日は上越まで走る予定、と答えると同時に青信号に合わせて走り始める。

次の交差点で、「明日は、戸隠神社で他のメンバーと合流して鬼無里村辺りの水田風景を見る予定なので、このまま上越まで一緒に行きますョ。」と返事が返ってきた。北陸道に乗って一気に行こうか、と冗談まじりに伝えて再び走り始める。

見慣れた景色

カブからBigバイクまで色んなバイクに乗ってブラブラと訪れる越前方面のR8号線は、佐多岬から宗谷岬へ向かってロングツーリングをしている、という実感が失せてしまうほど見慣れた景色が連続する道を走り続けた。

今朝走り始めた蒜山高原は雨だったが、東へ向かうほど天気が良くなり、富山の砺波から高岡辺りでは見下ろす水田が夕日に朱く染っていた。亦、今回のツーリングでは初めて見る夕日だと気付く。

夕日

富山辺りですっかり日が暮れたが、R8号線のバイパスはハイペースで流れていた。後ろに続くスクランブラーもストレス無く、心地良い鼓動感が小さくなり、滑らかさを増した辺りのエンジン回転域で走っている事だろう。

滑川、魚津を過ぎて入善辺りのR8号線を走り続けていた時、後ろに続くNakaさんは若さゆえ燃費が悪い、そろそろ燃料切れでは、と気づき訊ねると満面の笑み。このあたりの名物タラ汁を御馳走することにした。

チェーン調整

食事が終わり、お店の駐車場にて昨日から気になっていたチェーンの伸びを確認してみたら、随分延びていた。強化チェーンを使っているからか、延びはほぼ均等のようであるが、やはりチェーンオイルを注していないことが影響しているようだ。

チェーンメーカーのメンテナンス指示は、500Km毎の注油が求められているが、すでに1500Km近く無注油で走り続けている。早速、チェーンの張りを調整して、少し手遅れの感もあるがチェーンオイルを注した。

小排気量の場合、フリクションの少ないノンシールを選ぶか、耐久性のあるシールチェーンを選ぶか悩むところであるが、カブのチェーンはチェーンケースに覆われているから、現在使っているチェーンはフリクションが少ないノンシールの強化タイプを使っている。

カブ110を共に楽しんでいるNakaさんと村田さんの二人は、チェーンのメンテナンスが心地好い走りに直接影響することを体感しているから、興味津々で覗き込んでいたのが面白い。

親不知

コーナーが連続する親不知を軽快に抜けて暫らく走ると新潟県へ入る。ある程度の距離をスクランブラーと共に走ってみると、登坂車線があるところではペースダウンになるが、ハイペースで流れるバイパス等では流れに乗って走ることが出来るから、一般道であればBigバイクと共に走っても何ら問題が無いことを確信することが出来た。亦、敦賀から上越までの約300Kmの道程で初めて経験したツーリングのスタイルであった。

登坂車線

それは、コンディションの整ったスクランブラー2014仕様だからこそ、一般道のあらゆる速度域でも心地よく走る事が出来るから、カブ110Expressのペースに合わせて走ってもストレスが溜まらない。それは、同じスクランブラーに乗っているから容易に察しが付くことである。が、コンディションが悪いスクランブラーでは、ただでさえ一般道を走り続けることはストレスとなるから、原付と共に一般道を走り続ける事など論外だろう。

岡山の蒜山高原から新潟県の上越まで、Bigバイクで楽しんだ見覚えのあるルートをロングツーリング仕様に仕上げたベストコンディションのカブ110Expressで走り続けるのであれば、見覚えのある景色と新たに気付く景色があり、現実的な距離よりも遥かに短く感じて楽しいものであることを三日目の今日も実感した次第である。

小さなツアラー カブ110Expressとスクランブラー900の組み合わせでも、いつものメンバーと走るのであれば遠慮することも無く、我がままと気楽さでマイペースを維持して走る事が出来たと云える。また、スクランブラーに乗るNakaさんと村田さんが、オッサン大丈夫ですか、どこまで走るんですか、と後ろから見守るようにカブ110Expressのペースに付き合ってくれたことに感謝する。

カブ110NWJCコンプリートで日本列島縦断 東日本編 >>



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